続・レオタードの情事(2)

 

4.涼子とかすみ

 (涼子…涼子…あなたが欲しい……)

 

「いーっち、にい。いーっち、にい…」

 体操部の練習の終わり。当番のかけ声に合わせて最後の整理体操をする。練習で酷使し汗ばんだ体をいたわりほぐすように、四肢のあちこちを屈伸する。並んで体操する部員は皆、顔にわずかながら疲れの色を湛えていた。

 かすみも、上がった息を整えるようにして体操をしていた。…あの日以降、百合からの連絡などは一切ない。涼子もまた、それまで通りにかすみと接していた。まるで、あの逢引は存在しなかったかのように。ただ1人かすみだけは、立ち直れずにいた。あの部室での、秘事の余韻を断ち切れずにいた。

「いーっちにい、さんしい…」 

 体育館に集まった、レオタード姿の体操部員達。かすみも含まれるその列の中には、涼子もまた含まれている。かすみは、体操に集中しようとした。…しかし、気持ちとは裏腹に、その視線は、列のどこかにいるであろう涼子の姿を探しているのだった。

「しゅうりょぉーっ。お疲れさまでしたー」

 やがて体操は終わり、当番が解散を告げた。居並ぶ部員の間から、安堵の吐息ともため息ともつかぬ声がもれた。疲れの浮かぶ顔に笑みなど見せつつ、彼女等は荷物を置いてある壁際へと歩いていくのだった。

 列に混じって、かすみも、ややうつむき気味に歩いていった。誰とも話すことなく、タオルやスポーツドリンクが入ったかばんを持ち上げた。そのまま黙って、更衣室に向かおうとした時、涼子の姿が目に入った

 豊満な体をオスカーブルーのレオタードで包んだ彼女は、タオルで汗を拭きながら手洗いへ向かっているところだった。首から上、むきだしの肌がしっとりと汗ばんでいた。顔は上気してほんのりと朱が差し、肌の火照った様子と合わせてえもいえぬ様子を呈していた。伏せがちな目は、やや愁いを帯びたような潤いを見せ、静かに光っていた。

 かすみの心がずくん、とうずいた。体にかすかな震えが走る。かすみは手に持ったかばんを取り落とすと、ふらふらと、涼子に引き寄せられていった。

 すらりとして、それでいて肉感的な涼子の体は、かすみの目を釘付けにして離さない。彼女が入っていった手洗いの中に、続いてかすみも入っていった。

 手洗いに入って角を曲がると、丁度、涼子が個室に入っていこうとすることろだった。

「……かすみ?」

 涼子は、かすみのただならぬ様子に気付いた。

「どうしたの、大丈夫?」

「涼子ぉ…」

 目の前の涼子は、美しかった。欲しくて欲しくて、たまらない。欲望が、かすみの中で渦を巻いた。

 かすみはすっ、と手を伸ばし、涼子の肩を掴んだ。そして次の瞬間、押し倒すような勢いで彼女を個室の壁に押しつけた。

「ちょっ、ちょっとかすみ!」

 抵抗しようとする涼子の両手首を、壁に押しつけた。そのまま、体で相手を押すようにして動きを封ずる。振り乱されるセミロングの髪に顔をうずめ、そのまま、首筋に舌を這わせ始めた。汗と香料の臭いが混じりあったむっとする臭いが、かすみの鼻をついた。

「好きなの、涼子…」

「何するの、いや、やめてかすみ!」

 必死にもがく涼子。涼子がもがけばもがくほど、かすみは甘く興奮し、彼女を壁に押しつけた。両の胸を彼女の胸に押し当て、こすり合わせるように左右に動かした。耳に吐息を吹きかけ、舌で嘗めた。ひたすら涼子だけを求め、さらに、腿間に足を割り込ませ――

 しかしその時、かすみは股間部に鋭い痛みを覚えた。涼子が膝で蹴りあげたのだ。涼子を押える、力が弱まった。涼子はかすみの手を振り払うと、彼女の体を思いきりつき飛ばした。

「きゃあ!」

 つき飛ばされたかすみは、勢いの余り、反対側の壁にひどく後頭部を打ちつけた。……そのまま、意識を遠のかせていった。

「皆瀬さん。どうしたの!」

「かすみが、かすみが……あたしに…」

「保険室に運ばないと。みんな手を貸して!」

 騒ぎに気付いた部員や教師達の喧騒の中、かすみの意識は、闇に消え失せていった…

 

5.保健室の中で

(ん……痛っ……)

 それからいくらかたって。かすみは、目を覚ました。最初に意識したのは、後頭部の鈍い痛みだった。わずかに頭を動かすと、薬品棚が視界の隅に入った。どうやら、保健室で寝かされているらしい。、

(そうだ、私、涼子に抱きついて、それで突き飛ばされて……)

 そこまで考えたところで、かすみの思考は中断した。両手が動かないのだ。かすみの体はベッドに横たえられているが、両手は、丁度万歳をするように上へ差し上げられていた。その格好で何かに縛り付けられ、動かすことができない。口にも、柔らかいタオルのようなものが詰めこまれ、声を出すことができなかった。

 体育倉庫での恐怖の記憶が、かすみの心に蘇る。恐怖におののきつつ彼女は、荒い息づかいの混じった、ぎしぎしというきしみ音が聞こえるのに気付いていた。音は右側から聞こえてくる。彼女は、おそるおそる顔を向けた――

 そこでは、ベッドの上で、2人の女子がからみあっていた。1人は、すらりとして色白、白い下着姿で、ベッドにあお向けに横たわっていた。その体に、もう1人がまたがっていた。オスカーブルーのレオタードを着て、顔を苦しげに歪め、茶色みがかった髪を振り乱している彼女は、皆瀬涼子だった。彼女は、横たわった百合に馬乗りになり、彼女の恥骨のふくらみに自分の股間を当て、腰を前後にグラインドさせていた。

「はあ、はあ、はあ、はあん、あふう、んはあん、あんっ……はあ、はあ」

 大きく開けた口から、吐息に混じって、喘ぎ声が漏れる。時に歯を食いしばって抑えようとするが、股間の刺激がその努力を無にしていた。

 涼子の腰の動きが、徐々にストロークの短いものとなってきた。自らを絶頂へ導くように、短く、激しく動かす。横たわっていた百合の両手がすっと伸び、レオタード越しに涼子の胸をわし掴みにした。そのまま、下から握りこむように揉んだ。涼子は歯を食いしばり、喉をぐっと反らした。

「っんんんっ、んくうっ」

 涼子の体が弧を描いて硬直し、電気に撃たれたようにびくびくと痙攣する。きっと結んだ口から押し殺した喘ぎが洩れる。数瞬の嵐の後、彼女の体からがっくりと力が抜けた。彼女はベッドに両手をついて体を支え、肩で大きく息をした。

 座りこんだ涼子の脚の下から、横たわっていた百合が身を起こした。ブラジャーとショーツだけの百合は、片手をついて上半身を起こすと、やおらかすみの方を向いた。

(!!)

 百合とかすみの、目が合った。冷たく細められた百合の目線は、まるで金縛りのようにかすみを捉えて放さない。

「目を覚まされたようですわね、楢崎さん」

 冷たく言って、百合はベッドから降り立った。百合の体は、下着姿になることで、その細身の体が一層際だって見える。豊満ではないが、バランスの取れた体だった。彼女は足音も立てず、かすみの横たわるベッドに歩み寄った。

「楢崎さん……手は出さない、とおっしゃられたのに。嘘をつかれましたわね」

 言いながら、百合はかすみの右脇に腰を下ろした。そうして、右手で彼女の体をすっと撫でた。恐怖で緊張したかすみの体は、さらりと撫でられただけでもぴくんと反応した。彼女は、自分がいまだレオタード姿であることに気が付いた。気を失った時のまま、部活用の、マゼンタ色のレオタード。

「お仕置きしなければ」

 百合はくすり、と笑い、ベッドの下から何かを取り出した。それは一見、シャンプーなどが入っているような平凡なプラスチック容器だった。百合はかすみを見下ろしながら、容器をぐっと押し、中身を右手の指に出した。かすみの目が、恐怖に見開かれた。

(……いや、いやあ! やめて! 来ないでえっ!)

 百合はくすくすと笑いながら、体を横にして、もがくことしかできないかすみに寄り添った。

「ねえ、楢崎さん。これが何だかお分かりになる?」

 百合は、指を立てた状態で、右手をかすみの顔に近付けた。人指し指から薬指にかけての指先に、透明なジェル状のなにかが盛られている。手が近付くと、言いようのない甘い香りがかすみの鼻をついた。

「分かるかしら。この間、楢崎さんに使ったあの薬ですわ。…この薬を、あなたのあそこに塗って、帰ってしまおうかしら」

 百合の冷たく細い目が、さらに細められた。

「あなたは、たった1人で、ここで悶えることになるでしょう。…もう時間も遅いですし。しばらくしたら、警備員の方が見回りに来られるわ。そこで、淫らに悶えてるあなたを見つけたら…どうなるかしらね?」

 百合は、かすみの髪に顔をうずめるようにして、耳元に口を寄せた。そして、そっと囁いた。

「あなた、レイプされましてよ」

 その言葉に、かすみは恐怖のどん底へ突き落とされた。見開かれた目に涙が溢れ、体ががくがくと震え始める。いやいやをするように顔を左右に振り、もがいた。しかし、足をばたつかせることさえできなかった。素早く起き上がった百合が、足を押さえこんでしまっていた。

(いやあ、お願い! 許して! 許してぇ…)

 レイプの恐怖で、かすみの心は狂わんばかりに渦巻いた。激しく鼓動する心臓は、喉の奥から飛び出しそうで、目の前は涙で全てがぼやけていた。涙越しに、自分を見下ろす百合の姿が見えた。

 かすみは必死でもがいた。手を揺すり、体を揺すり、足を押さえる力に抗った。しかし、手も足もびくともしなかった。そしてついに、股間に手がねじ込まれ、レオタードの上からあのジェルが塗りつけられたのを感じた。

(いやっ、いやいや! 涼子、助けて。相馬さん、許して。いやあ…どうしてえ…)

 ジェルの効果は、程なくして現れた。秘部がじくじくとうずきだし、肌が粟立つような感覚が背筋を通り抜けた。体全体が熱っぽくなり、呼吸が深く、緩やかになりだした。欲望が恐怖を押しのけ始めたのを感じ、かすみの心は絶望で覆われた。視線を胸元に落とすと、乳首が勃起し始めているように見えた。

 体を火照らせて動けなくなったかすみの姿に、百合は満足がいったようだった。かすみの口からタオルを取り出すと、言った。

「どうです、楢崎さん。今のお気持ちは?」

「……お願ぁい、置いてかないで……」

「嘘つきさんは、お仕置きを受けなければなりませんわ」

「……レイプはいやぁ、何でもしますから、ここから出して…」

 かすみは、涙声で哀願した。彼女の体は、もう彼女の意のままにはならないところへ暴走を始めている。欲望のうずきを堪えきれず、快感を求めて身をよじり、太腿をこすり合わせていた。彼女はかすかに残った理性にしがみつき、必死に懇願した。

「分かりましたわ、楢崎さん。このままここに残していくことはしません」

 いくらか焦らすように間をおき、百合は言った。

「ですが、このまま帰す訳にも参りません」

(…どういう事?)

 かすみが、心に浮かんだ疑問を口に出す間もなく。次の瞬間には、彼女は体を貫く刺激にがくがくと体を震わせていた。

 かすみに寄り添うように身を横たえた百合が、レオタードの上からかすみの乳房を強く揉み始めた。揉みながら、親指と人指し指で、固くなった乳首をつまんでしごく。その度にかすみはびくんと体を痙攣させ、大きく開けた口から声を漏らした。

「はあん……あふぅ」

 さっきまで不安と恐怖を一杯に湛えていたかすみの瞳が、たちまちとろんとした陶酔の色を帯び始めた。百合は妖艶に微笑むと、身を起こして背後のベッドを振り返った。

「…さ、涼子さん」

 ベッドに座って事のなりゆきを見守っていた涼子が、百合に促され、かすみのもとへやって来た。百合が横になっているのとは反対側、かすみの左側に周り、同じく彼女に寄り添うように身を横たえた。

「かすみ…」

 少し切なさを込めて、涼子がつぶやいた。そして体をぴったりと寄せると、レオタード越しにかすみの体を撫で始めた。腹を撫で、胸の谷間をなぞり、鎖骨と首筋を伝って、頬に手を当てる。そしてその姿勢で、涼子は、かすみの首筋をついと舐め上げた。入念に舌を這わせ、唾液を垂らし、最後に左耳へ息を吹きかけた。

「んふう…」

 かすみの瞳が潤み、顔が苦しげに歪んだ。涼子はさらに、かすみの左耳穴へ舌先を挿してぴちゃぴちゃと音を立てた。熱い吐息を吹きかけ、耳たぶに歯をたてた。かすみは喉でひゅうひゅうとかすれた呼吸音を立て、首を振った。

 そこへ百合が、再び身を寄せて来た。その右手には、いつの間にか調達してきた医療用のはさみが握られていた。百合は笑みを浮かべたまま、レオタードの胸元を少し引き伸ばすと、そこに刃を当てた。ビリッ!と音をたてて布が裂かれる。そのまま彼女は、胸の谷間までレオタードを引き裂いた。

 百合ははさみをベッド下にしまうと、指で布の裂け目をそっとなぞった。かすみは、レオタードの下に肌色のボディファンデーションを着ている。それは、今や汗でしっとりと湿り気を帯びていた。

 百合は、裂け目からレオタードの下に手を滑り込ませた。ボディファンデーションの上を滑った手は、かすみの右の乳房にたどり付き、再び強く揉み始める。

 涼子の舌が、胸元に降りてきた。繊細な手が切れ目の入ったレオタードをめくり、ボディファンデーションをずり下げる。かすみの左の乳房が露わになった。白いお椀のような乳房は形良く整い、頂点では黒ずんだピンク色の肉芽がぴんと屹立していた。涼子の舌は肌を舐めながらさらに降り、肉丘を登りつめると、頂上にある敏感な芽を舌先でちろちろと転がした。

「あはあぅ、だめえ…」

 じっくりと胸をなぶられるのに加え、新たに太腿の辺りを這う手の動きを感じ、かすみは喘いだ。涼子と入れ替わりに、百合がかすみの下半身に回り、太腿の辺りを撫でていた。かすみは弱々しく首を振り、抗議の声を上げたが、何にもならなかった。

 かすみの太腿は交差する形でぴったり閉じられていたが、それは秘部を守るためとは言えなかった。かすみの意思とはうらはらに、かすみの体は、刺激を欲して太腿をすり合せていた。百合は股間のVカット部から指を差し入れると、器用に指を降ろしていった。ジェルだけでなく、溢れ出た愛液によっても濡れたかすみの秘部へ、百合の指が降りていく。

「あひいっ!」

 一番敏感なところを直接触られ、かすみは悲鳴に近いよがり声を上げた。さらに続けて、百合は秘部に指をねじいれた。中をぐりゅぐりゅと掻き回され、かすみは、もう声も出せなかった。

(もうだめえ……あたし、おかしくなっちゃう……)

 かすみの目の前に、涙とは別な、もう一つの白い霧がかかり始める。

「あら、楢崎さん。まだ早いですわ」

 ぐったりとしたかすみに、百合が甘い口調で話しかけた。彼女はかすみの秘部から指を抜き、責めるのをやめた。身を起こし、四つん這いでかすみの上半身の方へ行くと、今度はかすみの顔に直接またがった。

「少しインターバルを置きましょう。…さあ、奉仕して下さいな」

 その言葉は、かすみの薄れかけた意識にはっきり届いた訳ではない。しかしかすみは、自分でも意識しないうちに口を開け、舌を出していた。

 薄手のショーツ上から擦るようにして、かすみは百合の秘部を舐めた。秘部の湿り気がショーツを通して舌先にも伝わってくる。彼女は舌の感覚を頼りに秘部の陰核を探し、そこを集中して舐めていった。かすみの鼻先で、強い女香がつんと匂った。

「あふ、ん……」

 かすみの顔の上で、百合は顎をぐっと引いてこみ上げる快感に耐えた。百合の苦しげな表情にそそられ、涼子も這い寄って来た。彼女は百合のブラジャーをそっとずらし、乳房を露わにすると、口を当てた。まず乳輪の辺りを入念に舐め、唾液でたっぷりと濡らすと、乳首を咥えこんで舌でなぶった。

 上と下から責められ、百合はきゅっと目を閉じて喉を反らした。脇に垂らした両腕はぴんと伸びてつっぱり、股を開いて膝立ち姿勢の足も、力が入ってぶるぶると震えていた。

「………んっ、んんっ、あんっ」

 一際大きな震えが2度、3度と百合の体を襲った。やや大人し目の絶頂が通り過ぎ、百合は全身の力をそっと抜いた。腰を浮かせて股間をかすみの口から離し、まだ乳房を舐めている涼子を、両手で静かに引き離した。そして彼女を見上げた涼子の、その唇に、キスした。

「さあ、次は、涼子さんの番ですわ」

 そう言うと百合は、もう一度涼子にキスして、ベッドから降りた。百合がベッドから離れる時、ちらりと後ろを振り返ると、腰を前に突き出すようにしてかすみの顔にまたがる涼子の姿が見えた。

 百合はくすり、と笑うと、隣のベッドに腰を降ろし、自分のかばんに手を伸ばした…

 

 ぴちゃ、くちゅ…ちゅるるっ

 かすみは顔に被さる股間に舌を伸ばし、秘部を吸った。割れ目を縦にしごくように舐め、続いて舌を割れ目に突っ込み、中でくねらせた。行為の度に、腰の持ち主は喘ぎ声を漏らし、ついには一際大きく喘いで体を震わせた。口の周りに、愛液がぽたぽたと垂れるのを、かすみは感じた。奉仕の相手が満足して離れていく時、青いレオタードを着ているのが見えたが、朦朧としたかすみの意識に留めることはできなかった…

「少しは体落ち着かれまして? 楢崎さん」

 突然百合の声が聞こえ、かすみははっと正気に戻った。心持顔を上げると、足の先、ベッドの向こうに百合が立っているのが見えた。百合はすっと背筋を伸ばして立ち、かすみを見下ろしていた。

「…これに見覚えはあるかしら」

 百合が、右手をゆっくりと上げた。体を駆け巡るじくじくとしたうずきを我慢しつつ、かすみはもやがかかったような目をこらし、見つめた。そして、手に持つものに、再び恐怖の記憶を蘇らせた。

「そう…アレですわ。楢崎さん、かなりお気に入りでしたわね」

 百合が手に持っていたのは、細長い棒状で、表面にぶつぶつと突起のついた、派手な赤色のもの――写真の中で、かすみが手に持っていたあれだった。欲望のうずきと恐怖のこわばりが同時にかすみを襲い、彼女の顔が歪んだ。

「さあ、続きを始めましょうか」

 百合はくすりと笑うと、ゆっくりとベッドに近付いて来た。かすみは、抵抗できなかった。顔を歪め、涙を浮かべ、何も言えずにぶるぶると震えながら百合を見上げていた。

 百合は優雅ともいえる仕草でベッドに腰掛けると、かすみの両足を優しく押して開かせた。左手でレオタードをずらし、股間を露わにすると、右手に持つものを秘部にぴたりと当てた。百合が右手に力をこめると、いともたやすく、ものはかすみの秘部にずぶりと入りこんだ。

「んぐうっ!」

 かすみの体がびくんと反応した。百合は、ゆっくりと右手を前に突き出していった。かすみの秘部は、それまでの責めでたっぷりと濡れており、ものを易々と呑み込んでいった。体の奥に侵入してくるもの、その突起が膣壁をこする刺激と快感に、かすみの体は棒のように硬直した。

 ものを根元まで突き入れ終えると、百合はベッドから離れた。太いそれを秘部に咥えこんでいるだけで、かすみはびりびりと電気を流されるような刺激を感じていた。体を硬直させたまま、小刻みに震わせた。体中から汗が噴き出し、体をじっとり濡らしていった。

「うふ、楢崎さん…切り裂かれたレオタードを着て、あそこには太いものが刺さってる。いい格好ですわ」

 パシャッ! パシャッ! 保健室内に、ポラロイドカメラの撮影音が響いた。

 何枚か写真を撮ると、百合は再びかすみに近寄った。手を伸ばし、かすみの股間に刺さるものをつまむ。一度ちらりとかすみの様子に目をやってから、百合はおもむろに、ものをぐりぐり回転させながらゆっくりと引き抜き始めた。

「……はあああっ、あふう、ああん」

 百合は半分ほどものを引き抜くと、再び回転させながら挿入していった。引き抜き、挿入。引き抜き、挿入。そのうち、かすみの脚が自然と持ち上がり、腰を突き出す開脚姿勢をとっていった。秘部からは透明な密液がどくどくと溢れ出し、レオタードを濡らすだけでは飽き足らず、シーツにまで垂れて染みを作った。その口からは喘ぎが洩れ、顔にはうっとりとした陶酔の表情が浮かんでいた。

「あらあら、楢崎さん、はしたない…」

 何度目かの挿入の後、百合はものをいじるのをやめ、かすみから離れた。そして、開脚したかすみをじっと見つめ、撮影。興奮が高まりつつあるかすみは、短い間隔で呼吸し、体全体を上気させていた。

「あぐぅ、いやぁん…」

 かすみは、もはや刺激がない状態に耐えられなくなっていた。彼女はもどかしげにぎごちなく脚を閉じ、股間のものを挟むように太腿を合わせると、小刻みに脚を動かし始めた。体の動きに合わせて、ものと膣がこすれ、かすみが欲する刺激を送りこんだ。

「勝手はいけませんことよ」

 百合は手を伸ばすと、かすみの脚をぐいと開かせた。刺激が消えて、かすみの顔は苦しげに歪み、目尻からは涙がこぼれ落ちた。体をよじり、頭を枕に擦り付けて、かすみは喘いだ。

「あ……あたし、おかしくなっちゃう……お、お願…」

「楢崎さん、いいんですの? 涼子さんの目の前で、そんな淫らな事」

「……涼子」

 その単語に、かすかに残っていた理性が反応する。かすみはぶるぶると震えながら、頭を右に向けた。そこでは、満足して体の火照りも鎮まったらしい涼子が、ベッドに寝そべってかすみを見ていた。その目には軽蔑の色さえ浮かんでいた。

 ずっと見られていた。その目の前で淫らな欲望に溺れ、しかも、もう自分では熱い体を抑えることができない。かすみの両目から、涙が溢れた。

 かすみは、反対側に顔をそらした。羞恥と絶望から止めどなく涙を流しながら、欲望の命ずるままに、百合に懇願した。

「お願いします…アレで、あたしを……もお、我慢できない…」

「うふふ…あははははっ! …いいですわ、楢崎さん。最後はご自分で、いやらしくよがり狂いなさい。あなたにはそれがお似合いですわ」

 百合は勝ち誇ったように笑うと、わざとじらすように、ゆっくりとかすみのベッド脇を歩いた。そして、かすみの右手をベッドの枠に縛り付けた縛めを解いた。

 かすみは、自由になった右手を、小さく震わせながら股間へと持っていった。脚をぐっと開き頭を持ち上げると、胸の谷間越しに、秘部から突き出たものの根元が見える。かすみは涙で顔を濡らしながら、震える右手をものに添えた。欲望に押し流された自分への失望、見ている涼子への羞恥、陥れた百合に対する怒りと絶望、感情の渦が心で逆立った。しかし、体の疼きに促されて右手を動かし始めた時、それらはもうかすみの心から消し去られてしまった。

 かすみの体は燃えるように熱く火照り、強烈な刺激を欲していた。かすみの右手は、遠慮なく大胆に激しくものを前後させた。ものが動くたびに、濡れてぷっくり膨れた秘部がぬちゃぬちゃと音を立てた。横にいる涼子の姿も、撮影している百合の姿も、もうかすみの目には入っていなかった。

「はあん、いいっ、いっいくう、んはあぅ」

 かすみの体の中で、快感の塊が熱く膨れ上がっていった。背筋を犯し、手足を痺れさせ、じわじわと頂点へ上りつめていく。かすみは腰をくびらせて、ベッドの上で背中を反り返らせた。

「あっ、いっいっいやっ、…あっあ…あがはああっ!」

 最後の瞬間、膨張した快感の塊が彼女の中で弾けた。快感の衝撃波が通り抜け、かすみの体は、腰から頭までの綺麗なアーチを描いた。衝撃波に揉まれて、頭の中は真っ白になった。

 全てが終った後、彼女の体から力が抜け、ずるずるとベッドの上に横たわった。余韻で時折ぴくんと体を震わせるが、動くことはできなかった。手足はだらりと伸ばされ、秘部に刺さったものを抜くことさえできない。快感の糸が切れたことで、かすみの意識も半ば遠のいていた。目の焦点は合っておらず、口は力なく半開きになったまま、一言も発さなかった。

「…楢崎さん、私達はお先に失礼しますわね。新しい写真、何枚かここに置いておきます。…そうそう、アレは進呈致しますわ。とってもお気に入りのようだから。どうぞ、夜の友にでもなさって」

「…さよなら、かすみ」

 どこか遠くで、百合と涼子の声がしたような気がした。

 

 それから。いつしか、かすみは泣いていた。

 汗と愛液でべとつき、胸元を切り裂かれたレオタードを着たまま、かすみは保健室のベッドにいた。左手はベッドの枠に縛り付けられたまま、秘部はものを刺したまま。縛めを解こうとも、ものを抜こうとも、しなかった。ただ横たわり、泣いていた。泣くことしかできなかった。

 絶望して涙にくれるかすみの枕元には、何枚かのポラロイド写真が散らばっている。そこに写るのは、マゼンタ色のレオタードを着て、淫らに情事にふける、1匹の雌――

 
 
FIN
 
 
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