レオタードの情事(2)

 

3.かすみと百合

(許さない……許さない……あの女…涼子を汚すなんて……絶対許さない…)

 

 それから何日かたって。

 ある日の放課後、かすみは荷物を持って教室を出ると、いつもの通り体育館へと向かった。しかし途中何かを思い出したかのようにぷいと向きを変えると、並んで歩いていた友人に手を振ってぱたぱたと教室へ戻って行った。

 教室まで戻った彼女は、しかし中に入ることはせず、そのまま廊下を歩いていった。そして隣の教室の横を通り過ぎながら、素早く視線を走らせた。教室の中にはまだ人影が多く、その中に、一際背の高いすらりとした人影がある。かすみは、そのまま何くわぬ顔で通り過ぎると、廊下の突き当たりのトイレに入った。軽く手を洗っただけで出ると、前よりゆっくりとした足取りで、再び廊下を戻って行った。

 ゆっくり歩くかすみを、何人かの生徒がわいわいしゃべりながら追い抜いて行った。彼女らに少し遅れて、独りの生徒がかすみを追い抜いた。かすみはきっと口を結び、その後姿を睨んだ。そして、少し距離を置くようにして、後をついて歩き始めた。

 その生徒は背筋をぴんと伸ばし、体の前にまわした両手で通学かばんを持っていた。特に誰かとおしゃべりするでもなく、彼女は階段を降りて校舎の玄関へと向かった。そこで、帰宅する他の生徒達と同じように靴を履き外へ出たが、そこでふと立ち止まった。何かを考えるようにややうつむいて、少しの間立ちつくした後、おもむろに顔を上げて歩き始めた。しかしその向かう方向は校門ではなく、構内の別のところに向かっていた。

 校舎の角を曲がって、渡り廊下を横切り、体育館の横を通って裏手方へと向かった。周囲には既に人気がなくなっていたが、別に気にかける様子も見せず、黙って歩いていく。裏手は、敷地を隔てるコンクリートの壁と体育館の裏壁とに挟まれた狭い空き地で、古い体育倉庫以外には何もない。彼女は立ち止まりもせずに入っていくと、真ん中の辺りまで歩き、そこでぴたりと立ち止まった。

 離れて後をつけてきたかすみは、立ち止まって何度か深呼吸し、唇をかみ締めて、意を決したように足を踏み出した。その人影は、裏手の中心辺りに、かすみに背を向けて立っていた。

「……あ、あの」

 少しおずおずとした感じで声をかけると、その人影はくるりとかすみの方を向いた。立っていたのは、相馬百合だった。間近で見ると、改めて彼女のスリムさと背の高さを実感する。色白ですっきり整った顔立ちは、綺麗ではあったが、冷たい印象を与えた。その顔には表情らしい表情は浮かんでおらず、かすみは一瞬、圧倒されたように声が出なかった。

「手紙をくれたのはあなた?」

 先に百合が口を開いた。少し低くて落ち着いた、だけどどこか硬い感じのする声だった。かすみは、そうです、というようにうなずいた。

「お話、というのは何かしら」

 再び、百合が問う。こういう状況に慣れているのか、動じた様子が微塵も見えない。相手にペースを握られている事に焦りつつ、かすみは一歩足を踏み出して、口を開いた。

「あの、皆瀬涼子さんの事なんですけど」

 その言葉を聞いて、百合の目がすこし見開かれた。

「相馬さんと皆瀬さん、どういう関係なのか、教えてもらえませんか」

 かすみはすかさず言葉を継いだ。

「私、見たんです。相馬さんと皆瀬さんが、林に入っていくところ…」

 百合は、すぐには答えなかった。見開いた目をすっと細め、意図を図るようにじっとかすみを見つめた。身を貫くような冷たい光にかすみはたじろいだが、ぐっとこらえて睨み返した。

「……あなたには、関係ないでしょう」

 少し間をおいて、百合がゆっくりと言った。硬さと厳しさのこもった声色だった。

「皆瀬さんに付きまとうの、やめてもらえませんか」

 かすみは百合の言葉には答えず、代わりに切りこむように言い放った。

「相馬さんも、お名前にちなんで評判を落とすのは嫌でしょう?」

 精一杯余裕のある声色で言ったつもりだったが、しかし、百合の表情に変化は現れなかった。硬く、冷たい視線で、かすみを見つめ続けた。何も答えない百合に、かすみは少し苛立った。

「…どうなの? 聞こえたでしょ。皆瀬さんにこれ以上付きまとわないでくれるかしら。でないと…」

「どうぞ、ご勝手に」

 不意に、百合は目を閉じてぴしりと言った。

「そうよ、私は、涼子の事が好き。涼子の心も、体も、好きよ。あなたから見れば淫乱な女でしょうね。それは認めるわ…」

 そこまで言って、百合は目を開けた。針のように細め、かすみを睨んだ。

「でもそれは涼子だって同じこと。彼女も私と同じ。だから、どうぞご勝手に。心ゆくまで私を貶めなさいな。でもそんなことすれば、涼子の事も必ず噂になる、あなたの守りたい涼子を貶めることにもなりますけど」

 百合の声は決して大きくはなかったが、はっきりとして、氷のような冷たさを持っていた。突き放すような百合の言葉に、かすみは焦り、額にじわりと汗が浮かんだ。そして彼女の最後の言葉に、かすみは思わず激情にかられた。

「あなたに、涼子は、渡さない」

 そう言って、話は終りだというように歩み去ろうとする百合を、かすみは通さなかった。

「…行かせない!」

 かばんを投げ捨て立ちはだかったかすみの手には、果物ナイフが握られていた。憎しみと激情にかられたかすみは、燃えるような目で百合を睨みつけた。

「涼子を汚したくせに…あんたなんか、あんたなんか!」

 ナイフを握りしめ、かすみは百合に突きかかった。体ごと百合にぶつかりそうな、その寸前、目の前から百合の体がふっと消えた。勢いあまって前につんのめり、かすみは無様に地面に転んだ。

「おやめなさい。そんなことしても、何にもならないわ」

 百合の諌める声がしたが、かすみは無視した。彼女は立ちあがりナイフを拾うと、百合の方を振り向いた。

「だめ。ナイフを捨てて。無駄よ」

 百合はどこまでも冷静に、かすみを諌めた。しかし、それがますますかすみを逆上させた。

「お高くとまった、あんたなんか…殺してやる!」

 ほとんど絶叫するように言って、かすみは再び百合に突きかかった。しかしまたもや、体ごと百合にぶつかろうとする寸前に、目の前から百合の姿が消えた。その瞬間、彼女は鳩尾に鋭い痛みを覚えた。余りの激痛に息がつまり、手からはナイフを取り落とし、体がくの字に折れる。そしてそのまま、彼女の目の前は暗くなっていった。

 

(……ここは、どこ?)

 どれくらい時間がたったのだろう。目を覚ましたかすみは、起き上がろうとして、すぐに何かがおかしいことに気が付いた。目が開けられない。いや、開けられないのではない、何かで目隠しされている。それだけではない。彼女の手は後ろ手に縛られ、足も同じく膝と足首のところで縛られている。口には猿轡をかまされ、彼女は横たわっていた。横たえられているのは、硬い布地の上のようで、またかすかな黴臭い臭いが鼻をつく。

(この臭い……体育倉庫の中?)

 心臓の鼓動が早まるのを感じながら、かすみは縛めをほどこうとしてもがいた。手足を縛っているのは何か細長い布のようだったが、しかしいくらもがいてもほどけない。もがきながら彼女は、自分が制服を着ていないことにも気が付いた。代わりに感じるのは、体にぴったりと合った滑らかな布地の感触、着慣れたレオタードの感触だった。しかも、アンダーなしで、直接レオタードを着ている。自分で着た覚えはない。誰かに着せられたのだ。彼女は、心臓の鼓動が益々早まるのを感じた。

「目を覚まされたようですわね、楢崎さん」

 突然聞こえた百合の声に、かすみは思わずびくりとして動きを止めた。マットを伝って、誰かが近くに腰を降ろしたのが分かった。

「あなたが彼女のことを想ってらしたのは、知ってました。だから、嫉妬するお気持ちは分かります」

 百合の声は、暗闇に惑うかすみの耳へ静かに響いた。

「でも……あんなひどいことをなさるなんてね、楢崎さん…」

 冷たい声の響きに、かすみは恐怖を感じずにはいられなかった。どうにかして逃げようと、縛られたまま体を起こそうとした。が、素早く覆い被さってきた誰かに押さえつけられてしまった。

「少しお仕置きしなければなりませんわ」

 耳元で百合の声が冷たく宣言し、かすみは誰かにマットへ押さえつけられた。その誰か――百合だろう、他には考えられない――は、手際良く彼女をうつ伏せにさせると、馬乗りになった。そして次の瞬間、彼女の秘部に冷たいジェルのようなぬらりとした感触があった。

(何するの!?)

 かすみは一層激しくもがいたが、体ごとのしかかるように押さえつけられ、ふりほどくことができない。

 幾らもしないうちに、彼女は、秘部がかすかに熱っぽくなっているのを感じた。熱みはみるみるうちに大きくなり、それにつれて体から力が抜けて行く。彼女の抵抗が弱まって嬉しそうな百合の声がした。

「無駄ですわ、楢崎さん。おとなしくなさい」

 縛られて満足に動けないかすみの内股を、百合の手がそっと撫でる。それだけでかすみは、背中にぞくぞくと来る感覚を覚えた。耳に吐息が吹きかけられると、彼女は背中を抜けて秘部に至る甘いうずきを感じた。

(いやっ、逃げ、なきゃ…)

 体中が鋭敏になっているのに気付き、彼女は絶望的な気持ちになった。しかし気持ちとは裏腹に、彼女の体は益々熱を帯びていくようだった。心臓は、どくん、どくんと大きく波打ち、その一打ちごとに耳の奥がずきずきとした。足を動かすと秘部を刺激するのでもがくことすらできず、もはや体を丸めて耐えることしかできない。いつしか、彼女の乳首はぴんと立っていた。

 くすくすと笑声をあげて、覆い被さっていた百合の体が離れた。猿轡が外され、足の縛めが解かれた。しかし、かすみは動けなかった。

 左側を下に丸まって横たわるかすみに、百合の手がそっと触れた。手はレオタードの上からかすみを撫でる。ウエスト、腹、腋、そして胸へ――

 暗闇の中でかすみは、胸が愛撫されるのを感じた。百合の手が、レオタードの上から右の乳房を包むように揉みほぐしていく。かすみの呼吸が、深く、ゆるやかになっていく。彼女は、理性を覆いつくそうとする感覚へ必死に抗い続けた。

 百合の手はなおもかすみを愛撫し続ける。いとおしむように、胸から肩、肩から鎖骨、鎖骨からレオタードの中へ。繊細な指先が、かすみの柔らかい胸を直に揉みしだく。そして、乳首をつまんだその時、かすみの口から思わず声がもれた。

「はあ……んんっ」

 指先は、硬くなった乳首を転がすようにじっくりと弄んだ。目隠しの分だけ、かすみの体は敏感になっていた。彼女は横たわったまま喉をそり返らせ、熱い吐息をもらした。

(……体が…熱い……)

 彼女は、かすかなしびれにも似た感覚で全身が満たされるのを感じた。

「我慢なさらないで」

 息が吹きかかるほどの耳元で、百合がそっとささやいた。百合の右手がレオタードから抜け、今度は撫でさするようにかすみの下腹部へ、秘部へと近付いていく。

 そこは既にじゅっとりと濡れ、熱をもっていた。レオタードの上から触れられただけで、かすみの体は敏感に反応した。

「あっ、あくっ」

 百合の左手がかすみのレオタードをゆっくりと脱がせていった。彼女の右肩、次いで右の乳房が、こぼれ落ちるように露になった。それから、彼女はあお向けにされた。知らず知らずのうちに、縛めのとれた彼女の足は、百合の指を迎え入れるかのように左右へM字に開いた。

 彼女があお向けになるや、百合の右手が太腿の部分からレオタードの中に潜っていた。手はするすると伸びて、滑りこむように彼女の秘部へ分け入った。同時に、露になった胸の先、そのぴんと立った乳首が指先でなぶられた。秘部からは愛液がにじみ出し、百合の指を滑らかに迎え入れる。

「はあああっ……いやあ…」

 時折ぴくりと体を震わせながら、弱々しく首を振るかすみ。しかし彼女にはもはや抗う力はない。力なく開いた彼女の口に、温かくぬめった舌が挿し入れられた。逃れようとするかすみの唇を、舌は執拗に追った。

「我慢なさらないで」

 再び、百合の声が甘くささやいた。彼女の指先がかすみの秘部をきゅっきゅっと捏ねあげるたび、かすみは体をびくんと大きくのけぞらせた。

「だめぇ……」

 遠のきそうになる意識の中、かろうじて彼女はかすれた声をあげ、開いた足を閉じようとした。

「楢崎さん、私の指が嫌いとおっしゃるの?」

 百合はそう言ったようだった。突然、秘部を押し開き捏ね回していた指がするりと抜かれ、胸を揉む手の動きが止んだ。かすみは、ぐったりと横たわったまま呼吸を落ち着けた。思いがけない展開に驚きはしたが、ともかくこの間に気を落ち着けなくては、とそう考えていた――

 しかし次の瞬間、足先から太腿、背中、うなじにかけて、体を悪寒のような嫌な感覚が貫いた。耳の奥で脈動の音が重く響き、それに合わせるように刺激を求める感覚が体のあちこちを駆け巡った。かすみは体を丸めて横臥し、体を小刻みに震わせながら、耐えようとした。

 そんな彼女の熱く火照った耳を、百合の舌がそっと舐めた。それだけでも、彼女には十分過ぎる刺激になった。秘部から愛液が太腿にまであふれだし、股間がぬるぬるとぬめった。閉じた足を動かすだけで、ずきんとくる快感が彼女を襲った。肌があわ立つような欲望の渦巻きに、彼女は喘いだ。

「はぐうっ………相馬さん…」

「なんですの?」

 百合の勝ち誇った声がする。かすみは、屈辱感にまみれていた。

「おね、がい、助けて…」

「どうやって助けて欲しいんですの?」

「あたしのあそこが、もお………お願いしますぅ」

 最後の方は搾り出すような涙声だった。右側を下にして横たわる彼女は、こらえ切れずに太腿を交互にこすり合わせ始めていた。くちゅ、くちゅ、くちゅ。ぬらりとした肌が卑猥な音を立てる。足を動かすと濡れたナイロン布が秘部をこすり、快感が彼女の理性を奪っていった。

「いいですわ、楢崎さん…」

 答える百合の声が熱を帯びる。かすみは背中に、ブラジャーを付けたままの乳房が押しつけられるのを感じた。レオタードがさらに脱がされ、胸から上が完全にはだけた。右肩に手が添えられ、左の腋の下からは腕が伸びた。百合の左手が、再び、かすみの両の乳房を大きな動きで揉み始めた。

「あふうっ……んんっ」

 百合の足がかすみの股間に割り込み、太腿を秘部にぐっ、ぐっとリズミカルに押しつけた。薄い布を通した刺激は鈍く、出し惜しみしているようで、かすみの欲望はさらに掻き立てられた。彼女は自分の足で百合の足を挟み、腰をゆっくりと前後にグラインドさせた。後ろ手に縛られた手には、百合のショーツ越しに熱い下腹部が当たっている。かすみは指先でショーツの縁を探し当てると、指を中に押しこんだ。恥毛をかき分け、恥丘のふくらみをなぞり、秘所を探って指を伸ばして行く。指先に湿った肉の感触を得ると、かすみはそこを擦った。

「あっ、楢崎さん…」

 かすみの胸を揉む百合の手の動きが、徐々に荒々しくなっていった。ときに大胆に乳房を握り、また乳首をつまみあげ苛んだ。右肩に添えられた手が一旦離れたかと思うと、むきだしになった百合の乳房が――ブラを外したのだ――かすみの背中に強く押しつけられた。

 かすみは右中指の先に百合の愛液を塗りつけ、その指を秘部の割れ目にずぶりと挿しこんだ。百合の体がびくりと反応し、かすみの耳元で熱い吐息がもれる。かすみは指をゆっくり、大きく動かして百合の秘部を味わった。

「はっ、あぐっ」

 百合の体が硬直したかと思うと、次の瞬間、膣がきゅっと締まった。百合はかすみの体を背後から強く抱きしめ、体をびくんびくんと震わせた。乳房を思いきりわし掴みにされたかすみは、痛みに思わず我に返った。

(え……相馬さん、いったの?)

 かすみの背中から百合の体が離れ、少し離れたところに横たわる気配を感じる。辺りに漂う甘い女香と倉庫の黴臭さがまじり合い、かすみはむせ返りそうになった。そろそろと寝返りをうち、起きあがろうとした。頭の芯にじんと来る欲望のうずきをこらえ、どうにか膝立ちになった時。

「どこに行かれるの、かすみさん」

 突然、背後から抱きすくめられた。

「あなた、まだいってないのでしょう?」

 呼吸の荒い百合の声に混じって、かばんを漁るようなかたかたという音がする。かすみはいやいやをするようにもがき、百合の手を振り解こうとした。しかし一度快感に溺れたその力は弱々しく、耳を舐められただけでがくりと力が抜けた。崩折れたかすみは、抱きすくめられたまま、横座りの姿勢で頭を垂らした。

「まだまだこれからですわ」

 言うや否や、かすみの足の間に百合の手がぐいと突っ込まれた。はっとする間もなく、レオタード越しに、あの冷たいジェルが秘部に塗りつけられたのを感じた。

「ひ、あ……はぐぅ」

 たちまち、刺激を求めるぞわぞわとした感覚がかすみを襲う。秘部からはどっと愛液があふれだし、太腿を伝ってその下の足首にまで滴った。我慢できず、彼女はぶるぶる震えながら横座りの足をもぞもぞ動かした。嫌悪と快感、絶望と至福がぐちゃぐちゃに入り混じり、彼女を押し流していった。

 百合は彼女を抱きすくめたまま、しかし何もしなかった。レオタードの上から時折そろりと彼女の下腹部を撫で、またあるいは首筋に舌を這わせた。決定的な刺激は与えず、惨酷なまでにじわじわと、彼女を責めたてた。

 かすみは歯をくいしばり、全身を駆け巡る欲望の嵐に耐えようとした。しかし、それが無駄なことは彼女自身すでに分かっていた。がくりと垂らした頭の、顎の先から汗が滴り落ち、パールピンクのレオタードにしみこんでいく。その布の下で、彼女の腰は、持ち主の意思に関係なく刺激を求めてびくびくと痙攣していた。

「……欲しいの……おっ、ねがぁい……」

 かすみの言葉に、百合は答えなかった。代わりに、耳に吐息をふうっと吹きかけ、そして彼女の目隠しを外した。彼女が真っ先に見たものは、じっとりと濡れて変色した、レオタードのデルタ部だった。そこは汗と愛液にまみれ、布の下の恥毛までが透けて見えた。さらに彼女の目前では、秘部の求めるままに、足がこすり合わされ腰がグラインドしていた。秘部とナイロン布がこすれ合う刺激を求めて、みだらな努力をしていた。彼女の両目から、涙がこぼれた。

「あ…も……はあう、はやく!」

 涙を流しながら、彼女はほとんど絶叫するように懇願した。

 くすり、と百合が笑った。彼女はかすみを抱きすくめるのをやめると、最後に残ったかすみの手の縛めを解いた。解いた両手は体の後ろで束ねるように抑え、耳元に囁きかけた。

「ちょっと待っててね、かすみさん」

 かばんを漁るようなかたかたという音がする。少したって目の前に現れた百合の片手は、あるものを持っていた。

「これなんてどうかしら」

 くすくすと笑いながら、ゆっくりと回すようにして、かすみにそれを披露する。それはやや硬い樹脂のようなものでできており、派手な赤色で、細長い棒状、表面に無数の突起がついていた。百合はそれを引っ込めると、後ろ手に束ねて抑えてあるかすみの手に握らせた。それからかすみを背後に引き倒すと、彼女の両手を抑えたままするりと体位を入れ替えた。

「かすみさん、かわいいわ…」

 百合は切なげにそう言うと、かすみの唇にキスした。心なし開いたかすみの口から、舌先がのぞき、百合の舌と触れ合った。吐息と唾液がからみあい、そして離れた。百合は抑えていたかすみの両手をそっと離し、彼女から離れて行った。

 もはや、かすみを縛るものはない。自由になったかすみは、しかし逃げはせず、あお向けに横たわったまま、小刻みに震える両手で、握ったものをゆっくりと股間へ持っていった。足をM字に開くと、左手でレオタードを横にずらし、右手でものを逆手に持ってゆっくり、味わうように、秘部に挿しこんでいった。

 ちゅぷっ、っと水音をたてて、ものの先端が肉襞の間に食い込んだ。瞬間、かすみはぎくりと体を緊張させた。だが滴るほどに愛液にまみれた秘部は、やわらかく押し広げられ、ものを受け入れて行く。全くの未開発にもかかわらず、かすみの秘孔は、滑らかにずぶずぶとものを沈みこませた。突起が膣口近くの敏感な場所をこすり、かすみは体の奥から涌き出る快感に酔った。

「ああっ……あはぅ」

 秘部の奥までものを挿し入れた次は、引き抜きにかかる。ある程度引き抜くと、また挿し入れる。かすみの手の動きは徐々に早まり、それにつれて呼吸も荒く、激しくなっていった。肩で息つぎをしながら、時折びくんと体を震わせた。

「はあっ…はあっ…はあっ……いいわ…もっとぉ」

 ものがかすみをこする度に、背筋を、心臓の鼓動にも似た痺れがリズミカルに貫いた。彼女は益々激しく右手を動かしながら、左手で露な自分の乳房を揉んだ。半開きの口からは惜しげもなく快感の喘ぎをもらしていた。

 快感が高まるにつれ、M字に開いた足に力が入り、かすみの腰は浮き上がっていった。肩をマットに付けたまま腰を突き上げ、淫らな弓なりの姿勢になっていく。そして、ついには快感の頂点。かすみは白い喉をぐっとそり返らせ、肩も浮いて、背中がブリッジを描いた。秘部が中のものを締め上げ、最後の刺激をもたらす。かすみは、電気に打たれたような、何も考えられない真っ白な感覚に支配された。

「くふっ、いっ、いくうぅぅ!」

 その先は、覚えていない……

 

 それからどれくらいたったのか、目が覚めたかすみは、薄暗い部屋の中にいることに気付いた。そこは古い体育用具倉庫の中、彼女は、敷かれたマットの上に横たわっていた。

(わたし……)

 そこにもう百合はいない。しかし体にはりついたレオタードの感触と、秘部の鈍い痛みが、記憶を呼び覚ます。嫌悪感とけだるさで、彼女はしばらく動けなかった。

 やがて彼女はのろのろと起きあがり、辺りを見回した。マットのすぐ側に、彼女の制服と下着が散らばっていた。靴とかばんは、倉庫の隅に投げ捨てられていた。彼女は這って服を拾い集めると、レオタードを脱ぎ、一枚一枚しわを伸ばしながら着ていった。

 制服を着終わって、かばんを取ろうと立ちあがったとき。彼女は、スカートのポケットになにか入っているのに気が付いた。取り出してみると、それは封筒で、中に何か入っている。封筒を開けてみて、彼女は、凍りついた。

 中に入っていたのは、何枚かのポラロイド写真で、それも、彼女がレオタード姿でよがり狂う姿を写したものだった。

(こんなのって…)

 撮られた醜態。取り返しのつかない過ちを犯した恐怖の余り、吐き気がした。膝が折れ、口を押さえてその場にうずくまりながら、彼女は震えた。うずくまって震えたまま、いつまでも、動くことができなかった。

 
 
FIN
 
 
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